2010 (H22/社10/31歳)
- シーズンベスト:14"05 (+1.2) (日本選手権/丸亀) [2010日本選手権準決勝1]
- 日本ランキング:26位
- 兵庫ランキング:1位
- 主要大会結果:兵庫選手権 優勝/近畿選手権 優勝/関西実業団 2位
2010/3/20 兵庫実業団記録会 (尼崎)
- 14"66 (+0.7) (1着)
日本選手権の日程が例年より3週間早くなることが、12月の段階で分かっていた。従って、例年より3週間早くシーズンのピークを持ってこなくてはならないので、 2月までにしっかりと基礎を固めて、3月からは、練習量を落としすぎないように注意しつつ、やや試合を意識したメニューを組んで、 疲労を抜くことにも意識をおいて練習をこなしてきた。そして今日の開幕戦を迎えた。 ここ数年、この大会のタイムは15"0から3くらいのだったが、今年は14秒台はでるだろう、くらいの気持ちをもって試合に臨んだ。 レースで感じるスピード感は、特に後半でゆっくりと感じたので、走っている途中は「15秒台かな」という感覚もあったのだが、ランニングタイマーは14"68。 予想以上に良いタイムであった。
毎年、冬季練習を終えた段階では充実感を感じているが、客観的に分析してみても、今年の2月までの基礎固めの内容は、例年以上に充実していた。 ベースアップはしっかりとなされているのと思うので、そこでつくった身体をどう動かせるようになるかが、今後のポイントになってくる。 早目に仕上げることを意識しすぎてピークが低くなってしまっては意味がない。今のレベルから、例年通りに調子を上げていかなくてはならない。 技術練習においては、今年だけに限らず、理想とする動きを何度も何度も頭の中で反復し、そしてそれを練習の試技で出来るように試みてきているので、 良いイメージはしっかりと頭の中にあって、そのイメージが言葉を介さずに身体の動かし方として理解されている。 しかし、まだまだ自分の理想とする動きは出来ていないのが現状。早目に仕上がっている今年の状態で、理想の動きを求めて技術練習ができることは大きなメリットになると考えている。 一方で、技術だけにこだわりすぎることは失敗の原因にもなる。技術練習に偏りすぎることのないようにバランスの良いメニューを組んで、 今年前半の最大目標である日本選手権を目指したい。それまでの試合計画は以下の通り。
- 4/11 春季記録会(ユニバー)
- 5/3 群市区対抗(三木)
- 5/16 関西実業団(丸亀)
- 6/4 日本選手権(丸亀)
社会人10年目。目標タイムは13"90。初戦のタイムは今までのベストを0"36秒上回った。 さあ、今年はどんなシーズンにどうなるのだろう? 自分でも楽しみだ。
今日のウォーミングアップ
7:40 ストレッチ('25)
8:05 drill(B)+基本走(腕振り~/静止バウンディング~)*4('30)
8:35 Hurdle(5歩*2/3台*4/AP(1,3)*2)('30)
9:05 休憩('25)
9:30 Hurdle(3台*2/AP(1,3)*1)('10)
9:40 直前AP(1)*2
10:00 レース
2010/4/3 神戸市記録会 (ユニバー)
- 200m 22"54 (+1.7) (2着) =自己新
新年度を迎え、思うように時間が取れない日が続きそうだったので、昨晩急遽出場を決め、練習がてらといより、アップも含めて練習として走った。 記録会での1本のレースは、例えばグラウンドで300m+200m+100mを2セットすることよりも良い練習になる場合もある。 今の時期の自分はそのケースに当てはまると思う。よい練習ができた。 気持ちのよい追風が吹いていたこともあり、昨年10月の記録を上回ったが、この4月3日という時期に、この記録が出たことを自分としては評価したい。 明日は貴重な1日休みの日。高槻に行って初動負荷トレーニングを行い、体のバランスを整え、筋肉をほぐす予定。 まだまだ先のような気もするが、実は日本選手権までは後2ヶ月。2ヶ月前とはいえ、1日1日の練習への取り組み、休養のとり方、食事のとり方、24時間の自分の行動の全てが、 2ヵ月後の結果に少しずつつながっている。
2010/4/11 春季記録会 (ユニバー)
- 14"62 (+0.0) (1着) [2010春季記録会]
3週間前にシーズンインして、今季ハードルでは第2戦。この3週間は仕事の面でも忙しい期間だったが、 練習量を落とさないようにということを意識して積極的にトレーニングをしてきたつもりである。従って、競技的にも生活的にも、 疲労感を感じるまでではないが、体の芯の方の疲れが抜けている状態ではなかった。 それは自ら計画的にそうしてきたことである。しかし、その中でも14秒前半は出したいなという自己期待があっただけに、今日の結果は不本意であった。 走り終わって、無意識のうちに「早く次の試合で走りたい!」と感じた。 次の試合は3週間後の郡市区対抗。この3週間は前の3週間に比べて、積極的に休養をとる日を設けるとともに、 より一層、1本1本の感覚を大事にする練習を行うことで調子を上げていこうと思う。「動く身体」をつくることと、技術的な「感覚」を研ぎ澄ましていくことが目標。 具体的なタイムで目標を設定するなら、風がどう吹くかわからないが、14"3台が出れば順調かなと思う。
2010/5/3 群市区対抗 (三木防災)
- 予選 14"61 (-1.9) (1着) =大会新
- 決勝 14"56 (-1.1) (1着) =大会新 [2010群市区決勝]
春季記録会の欄に書いた通り、漠然としているかもしれないが、この3週間は「動く身体」をつくることと、 動きの「感覚」を研ぎ澄ますということを目標にしてトレーニングに取り組んできた。「疲労を抜く」ことも意識したスケジュールを組んだが、 まだ100%の調整をしたわけではない。試合1週間前の週にも、適度な量と質を伴った練習も行った。 今日のレース内容を振り返ってみると、後半はリズムに乗ってそこそこ気持ちよく走れたものの、今までの試合同様スタートの8歩がまだまだうまくいっていないように感じる。 スタートの8歩の「感覚」を磨き、それを改善することで、第1ハードルに入るスピードを高めていければと思う。
さて、この郡市区は、関西実業団やその後の大会に向けての準備という位置付けで出場しているので、過去の記録についてあまり考えたことがなかったが、 振り返ってみると伊川谷高校に来てから4連覇したことになる(それ以前は出たり出なかったり)。タイムについては、強い追風が吹いた2008年と比較しても今年のタイムはそん色なく、 その他の年に比べても、もちろん今回の記録が大会新であったので当然だが、良いものになっている。 今日の結果は、向かい風の影響もあり、記録は14"5台にとどまったが、追風なら最低でも14"4台は出ていただろう。 また、今季はシーズンインのタイムからの記録の伸びが、例年に比べやや緩やかであるように見えるが、過去の郡市区のタイムの比較と同様、 風を考慮すれば、順調に記録は上がってきている。練習段階での結果を気にしすぎることはあまりよくないかもしれないが、そのような観点からは、 順調に仕上がってきていると判断してよいだろう。
年 | ラウンド | 記録 | 風 | ラウンド | 記録 | 風 |
2007 | 予 | 14"63 | -0.8 | 決 | 14"78 | -0.4 |
2008 | 予 | 14"49 | +2.1 | 決 | 14"62 | +3.1 |
2009 | 予 | 14"81 | -1.9 | 決 | 14"98 | -1.7 |
2010 | 予 | 14"61 | -1.9 | 決 | 14"56 | -1.1 |
次の試合は2週間後の関西実業団(丸亀)。今年の日本選手権が行われる競技場であり、自分が何度も行っているお気に入りの競技場でのレースとなる。 この大会については、毎年同じように調整して臨んでも、意外と走れた年もあれば、全然走れなかった年もあった。 とりあえず、今の段階で出来るだけのことをやってみようと思う。次回へ向けては自分なりの100%の調整をして試合に臨む。日本選手権に向けてのよいステップとしたい。
2010/5/16 関西実業団 (丸亀)
- 決勝 14"14 (+1.4) (2着) =自己新
日本選手権に向けて最後の調整試合となる関西実業団。今の段階で出来るだけの調整をして迎えた。会場はその日本選手権の開催地と同じ香川県丸亀陸上競技場。 丸亀での試合はもう10回目くらいになるだろうか。今回も高松市の栗林公園の隣にあるホテルに宿泊し、朝は車で約45分かけて競技場に向かった。 この45分のドライブがお気に入り。いつもの道を運転をしながら、試合への楽しみが膨らむ。 今日はアップで感じる調子が良かった。身体が軽く加速つきのハードル練習はとてもスムーズであった。スタートの感覚もまずまず良かった。 しかしこちらはもう少し、しっくりくるところまでは来ていないといった感じだ。スタートから第1ハードルまでを細かく分けると、 ブロックを蹴りだす感覚と最初の4歩が少ししっくりきていない。しかし、位置についてからあれこれ考えるのが一番よくないことなので、 割り切って「ピストルの音に集中するのみ」と決めレースに臨んだ。 結果、絶好の追風が吹いたことと、今回優勝のモーゼス選手(13"80=大会新)にとにかくついていこうと走ったことで、自己新となる14"14が出た。 あまりレースの中での内容は覚えていないが、なぜかハードリングでの滞空時間が長いなと感じた。ベストが出たのにふしぎな感じである。 また、全体的になんとなく荒っぽい走りであったような気もする。 レース直後は、タイムが出たことに対しての喜びを感じた。しかしその気持ちは、次第に日本選手権に向けて「これはいけるんじゃないか」という期待感、わくわく感にとって変った。 今までやってきた色々なトレーニングや学んだ理論(初動負荷やSAQ、ビデオを見て蓄積してきた様々な選手のイメージや書物で学んだ知識など)が、最近意外なところで結びつく。 断片的に存在していた技術が結びついて、自分の理想のイメージが明確になっている。スタートダッシュにしてもそうだ。 イメージはかなり出来上がっている。ただ、何度も書いているように、スタートに関してはあと一歩。 針の穴ははっきりと見えていて、何度も何度もその小さい穴に糸を通そうとしているがなかなか通ってくれないという感じ。 しかし穴の縁にかすることはでてきた。日本選手権までの18日間で、その小さな小さな穴に、糸を通せるかどうかだ。 もしそれが改善されて、仮に、スタートから1台目までのタイムを0"05秒短縮できれば、その影響でインターバルのタイムは各区間0"01は伸びる。 ハードル間は9区間あるので、計0"09の短縮に。さらに10台目からフィニッシュまでで0"01秒短縮できたとしたら、合計で0"15秒の短縮になる。 今日の記録から0"15秒を引くと13"99。13秒台が見えてきた?! まあ、そうは言っても、「何秒何を出すぞ!」と意気込んで出せるわけでもないので、 とにかく1日1日集中した練習を行って、しっかりとピークを6月4日、5日にあわせることが大切だ。 来週、再来週でもう一度身体に負荷をかけて、調子の波を作って、もう一段階身体を仕上げるとともに、技術を磨いて日本選手権を迎えたいと思う。 日本選手権の準決勝や決勝のレースを味わいたい。勝負を楽しみたい。 6月の3日と4日、いつものホテルの宿泊予約はちゃんと済ませてきた。
2010/6/4,5 日本選手権 (丸亀)
関西実業団で自己新を記録し、本気で「13秒台が出せる」という自信を得て、その後3週間の調整を行った。AP(ハードルスタート練習) AR(加速走) TR(テンポ走) BML(初動負荷)。
- 5/17月 Rest
- 5/18火 AP TR(200*3):骨盤を前傾させてからスタブロにつくと良い感覚。
- 5/19水 Weight:ジャンプスクワットの感覚を大切に。骨盤で地面を押す。
- 5/20木 Rest:テスト初日。部活終了後の時間を有効に使い仕事を片付ける。
- 5/21金 AP AR(200,100):伊川谷高校にて22"44と10"73。ともに自己新。
- 5/22土 BML:専用マシンで筋肉のバランスを整える。
- 5/23日 Rest:障害者陸上の審判。1日ゆっくり休みたかったが仕方がない。
- 5/24月 AP TR(200*3):明石競技場へ。警報&雨の中TRは気合の入った走り。11日前ポイント練習。
- 5/25火 Rest:テスト採点、授業準備など仕事の貯金をつくる。試合直前に忙しくならないように。
- 5/26水 Weight:試合9日前。ポイント練習。MAX重量でスナッチを行う。
- 5/27木 AP:会議&ポイント練習の影響で疲労感があるも、調子は良いと実感。
- 5/28金 Rest:総体1。伊川谷高校の選手の走りから学ぶことあり。
- 5/29土 Rest:総体2。3連休は予定通り。競技的疲労を完全に抜く。
- 5/30日 Rest:総体3。審判の合間をぬってコスモスの丘↑↓ウォーキング。3日で計4回。
- 5/31月 AP:明石競技場へ。抜き足強打、少し腫れる。調子もいまいち? 珍しく弱気に。これが今日で良かった。4日後に必ずピークがやってくる。
- 6/1火 AP:昨日のモヤモヤを払拭すべく少しの本数に限定し実施。調子よし。OK!
- 6/2水 Rest:スタブロでヨーイの姿勢を3回だけしてみた。飛び出せそうな感覚あり。OK!
さあ、明日はいよいよ丸亀に向かうので、試合前一言日記は6/2水まで。やるだけのことはやったが、 今回は自信たっぷりといった感じではなく、自信と不安が入り混じったような心境。しかし、後は自分を信じて、平常心で走るしかない。 一発集中し今の自分の出来る限り、最高のパフォーマンスを発揮してきたい。
~ここまで前日に記述~
- 予選 14"18 (-0.0) (5着)[2010日本選手権予選1] [2010日本選手権予選2]
- 準決勝 14"05 (+1.2) (9着) =自己新
[2010日本選手権準決勝1] [2010日本選手権準決勝2] [2010日本選手権メイン練習] [2010日本選手権サブ練習]
目標にしていた準決勝進出を果たし、自己ベストも更新することが出来た。13秒台には届かず、準決勝では最下位9着だったが、 走り終えて「やれるだけのことはやった」というすがすがしい気持ちになれた。 金曜日の予選。いつもどおり1次アップ、2次アップ形式でウォーミングアップを行った。 1次アップ、雨天練習場で、ストレッチからSDまでを行ってから、サブトラックでハードルを跳んだ。加速つきのハードル及び、スタートダッシュからのハードル、 どちらも非常に調子が良い。30分の休憩を挟み2次アップ。1次アップのときはインターバルを1足長つめていたからか、 さっきのほうが動いていたんじゃないかという気もしたが、調子は良い。さあ平常心で走るのみ。予選のレースを迎える。 予選は4組行われ、各組の上位3名と、残りの選手の中から記録上位4名が準決勝へ進む。 フライング即失格の新ルールが適用される為、フライング判定装置が設置され、スタートのコールも「On Your Mark」、「Set」が用いられる。 自分は予選1組なので、前の組の様子を見ることは出来ない。何も考えずピストルがなってから出るしかないな。深く考えずに位置についた。 すると、ビックリするくらい「Set」と「ピストル」の間が短かった。他の選手もビックリしたようだ。みんな一緒の条件。 リアクションタイムを見ると、反応が早くはないが出遅れた感じもなかった。しかし、スタートの4歩目で急に上体を起こしてしまい、 スムーズな加速には失敗して1台目、2台目とレースは進んだ。自分は3レーン。スタートリストを見て、この組で最低4着に入ること、4、5、6レーンの選手が良さそうだが、 そんなに離されはしないだろうから、その集団について行くこと、をイメージとして持っていた。3レーンの選手は持ちタイムはいいが、この選手には勝たなければならない。 しかし、スタートで出遅れ、その3レーンの選手にも先行を許してしまった。中盤から後半はこの選手を捕らえることに集中してインターバルの3歩を刻んだ。 順調に差は縮まり、1度接触があったが、こちらが後ろへ押す形の接触になったので、そこでリードを確実なものにする。後はフィニッシュまで駆け抜けるのみ。 いつもどおり左肩を突き出す形でフィニッシュした。その瞬間5着であることが分かる。 ランニングタイマーは13"92。ゴールしたときの差を考えると13秒台は望めない。結果が確定する画面を眺める。1着13"92、2着13"98 3着14"00。 ここまでが順位で予選通過。4着14"08、5着14"18。
5着 14"18もう少しタイムを出しておきたかった…。このタイムでは準決勝は厳しいかも…。正直な気持ちはそうだったが、とりあえず結果を待つしかないので、 さっさと荷物をまとめ「おつかれさん!」と一言残して雨天練習場に引き上げた。 試合は進む。2組。1着13"93、2着13"93、3着13"99。さあこの次のタイムが重要。4着14"11。 この時点でプラスの3番目に落ちた。5着14"20。よし。後2組残してプラスの3番目。 いてもたってもいられないが、トラックの様子を気にしながら、ダウンを開始。 3組。この組が1番厳しい組だなと感じていた。この組の結果がポイントになるなと思っていたら、自分にとってラッキー? なことに3組だけ突然強烈な向かい風が吹いた。 向かい風2.3m。しかし横一線にゴールラインに流れ込む。自分のいるところからランニングタイマーは見えない。1着のタイムが気になる。1着のタイムは…14"11。 よし、可能性が出てきた。2着14"12、3着14"12、問題は次。4着14"16。プラスの4番目に落ちた。5着14"18! なんとプラスの4番目で並んだ。 レーンの許す限り準決勝に進めるのでまだ可能性を残していることになる。ますます、いてもたってもいられなくなったが、たんたんと明日に備えてダウンを進める。 後に聞いた話になるが、「Set」と「ピストル」の間が1、2組はとても短かったのに対して、3、4組はやや長かったらしい。タイミングが安定していなかったのは確かだ。 さあ、そうこうしているうちにいよいよ最終4組を迎えた。「On Your Mark」、「Set」・・・「バン!!」・・・「バン!?」。フライング? 誰かがフライングをした。大型映像装置にスローで繰り返しリプレイが映されるが、誰がフライングしたのか一見分からない。5分くらいの時間を要したであろうか、 審判が7レーンの選手に失格を告げた。その選手は自分の予想の中では、自分と同じく予選通過のボーダーライン上にいた選手だった。 「ひとり消えたぞ。」心の中でつぶやく。この組は学生が主力の組、動揺しているに違いない。さあどうなる…。 追い風0.5m。予選の中では最良のコンディションの中でレースは行われた。1着13"99、2着14"05、3着14"07。まずい、差はそんなに開いてなかったはず…。 4着14"18!! よし!! プラス4がプラス6になった。ギリギリのギリギリで予選を通過して明日もう1本走るチャンスを得た。 準決勝へ行くんだという強い気持ちと、1000分の1秒にまでこだわってフィニッシュまで駆け抜ける姿勢を、陸上の神様が見ていてくれたんだと思った。
土曜、準決勝。昨日から伊川谷高校のOB宮内君が日本選手権を見に来ていた。彼にはコーチ用のIDを渡しているので、サブトラックや雨天練習場まで入ってくることが出来る。 そして、アップでタッチダウンタイムを計ってもらったり、レースをビデオに撮ってもらったり、いろんなサポートをしてもらって大いに力になった。 予選のビデオを見せてもらうと、明らかにスタートの4、5歩目で急に上体が起き上がり、そこで周りの選手と差がついていることが分かったので、 準決勝のアップではスタートでの上体の押さえを最重要課題として意識し、メニューをこなした。宮内君は自分のアップや他の選手のアップを見学している。 自分がスタートダッシュをして戻ってくるときに、「今のはどうだった。」と、彼に尋ねると、「よかったですね。」とか、「ちょっとつまずきそうになりましたね。」とか、 ほぼ自分の感覚と同じ答えが返ってきた。1本1本彼の意見を確認しながら、準決勝のアップは進んだ。IDを持っているだけではなく、本当のコーチのような感じだ。 彼のおかげもあり、スタートの4、5歩目が良い方向に修正されアップは終了、準決勝のレースを迎えた。 準決勝。自分は1レーン。準決勝は上位4着が決勝へ進む。横一線のレースになるだろう。何が起こるかわからないぞ。プラスギリギリで残ったとはいえ、 あくまでも勝負をする気持ちを持って走った。やはりスタートでやや遅れたが、予選のときと比べると良い動きが出来た。後半の走りはどんどん加速していく感じがあり、 他の選手と比べても見劣りしないところまで来ているのではないかと実感した。 ゴールしてすぐ9着だと分かったが、ランニングタイマーは13"69。これは13秒台が期待できるかも。1着からタイムが確定していくのを待った。 1着13"70、2着13"71…7着13"90。ますます期待が高まった。しかし、8着14"00。9着14"05。
9着 14"05
結果は最下位の9着だったが、力は出し切った。0"09秒、自己記録を更新した。すがすがしいレースが出来た。 13秒台は残念ながら出せなかった。しかし逆に言うと、13秒台という目標がなくならずにすんだ。その分まだまだ楽しめる。 無理をしてそう考えたのではなく、自然とそういう前向きな気持ちになれた。 日本選手権に向けて練習を積み重ねてきたので、今後のことは全く考えていなかった。 決まっていたのは7月12日の兵庫選手権に出るということだけ。例年とややシーズンの流れが違うのでどうしようかと少し考えた結果、 6月27日(日)布勢スプリント(布勢)に出場することにした。鳥取の試合まで3週間、その2週後に兵庫選手権。夏季トレーニングの準備期という位置づけとして考えるとともに、 今の良い状態の中で、意識の高い技術練習を行っていければと思う。予定(メニュー)を長いスパンでがっちり考えて実行するのではなく、 この5週間は、自分の体調、気持ち、天候など、その日その日で自分自身と相談して練習メニューを考えようと思う。 気持ちを入れすぎず、リラックスして、楽しんで行いたい。
2010/6/27 布勢スプリント (布勢)
- 第1レース 14"34 (+1.1) (6着) [2010布勢スプリント第1レース]
- 100m 11"14 (+0.1) (1着)=自己新
- 第2レース 14"54(-0.1) (6着) [2010布勢スプリント第2レース]
前半の最大の目標だった日本選手権を終えて、やや調子を落とした状態だということは分かってはいたものの、 ハードルのレースは、身体が動かない、動きはバラバラ、散々な内容だった。しかしその中でも1次予選は14"3台が出ており、力がついたのかなとも思う。 100mは10秒台を目標に久しぶりに出場したが、こちらも自己ベストながら、内容、記録ともにいまひとつ。はるばる鳥取まで行って3本走ってきたが、 結果としては大変不満なものに終わってしまった。 そんな中でも感じることがいくつかあった。帰りの車の中で色々なアイデアが浮かんだが、今思い出すものを箇条書きで挙げてみる。
- 今のスタートダッシュでは日本選手権で決勝に行くような選手には勝てない。
- ワールドウイングの合宿で学んだスタートの仕方をもう一度思い出してみよう。
- 日々の練習で常に切れのある動きを意識する。絶対になんとなくの動作をしない。
- 身体の芯から気持ちよく動かすこと。絶対に小手先だけの動作をしない。
2010/7/11 兵庫選手権 (ユニバー)
- 予選 14"65 (-1.2) (1着)
- 決勝 14"47 (+1.2) (1着)
やれるだけのことはやって迎えた今年の県選手権。月曜日のスタート練習では今季一番と感じたのだが、その後はイマイチ感覚がつかめず。 調子は悪くもなかったが、仕上げ切れていない状態だったと思う。シーズンの流れから考えると仕方がないとも思うのだが。 決勝のレースはスタートダッシュに大失敗。後半の加速はまずまずよかったが、決して後味のよいレースとはならなかった。 そういう意味では残念。しかし、2年連続7度目の優勝を飾ることができたことは良かった。 今回の試合を終えて、試合の感想を考えるというよりも、次に向けて何をやっていこうかということで頭がいっぱい。 もう一度ベース作りを3、4週間しっかり行い、三校定期戦200mHをさかいに、それ以降に秋のシーズンに向けて調子を上げていこうと思っている。 今後の予定は次の通り。
- 8月13日 三校定期戦200mH(ユニバー)
- 8月28日 近畿選手権(鴻池)
- 9月12日 姫路選手権(姫路)
- 9月26日 全日本実業団(新潟)
2010/8/13 三校定期戦 (ユニバー)
- オープン200mH 24"93 (+0.0) (1着) =自己新
2010/8/28 近畿選手権 (鴻池)
- 予選 14"78 (-1.1) (2着)
- 決勝 14"19 (+1.2) (1着)[2010近畿選手権決勝]
夏の終わりのこの時期に行われる近畿選手権は、過去に自己記録を更新したこともあるが、 夏の疲れがとれきらないままに迎えてしまうことも多く、走ってみないと結果は分からないといった印象の大会になっている。 今年も秋の最大目標は、9月下旬の全日本実業団なので、まだ調子を上げ切れていない段階での出場になったことは定通りなのだが、 昨年くやしい負け方をしているだけに、今年は優勝するぞという意気込みを持って、奈良へ向かった。 優勝が目標なので、予選前のアップはできるだけ体力を消耗しないように行った。例年15秒台でも決勝に残っているので、 まず大丈夫だろう予選(3組2着+2)のレースは気負わず気楽に走った。しかし、2レーンを走る自分の右手に、3人ほどの気配が感じられ、 そのうち一人には完全にリードされた。これはまずい。レース中、一瞬そう思ったが、冷静に最後までリラックスして走った結果、何とか組で2着に入れた。 3着は14"9台だったので少し余裕はあったようだ。 続く2組、3組でも大学生を中心に14"5から6台のタイムが続出し、決勝進出は14"72までのプラス2、なんと自分のタイムが最も遅いという状況で決勝を迎えることになった。 ここ10年では平均的に最もレベルの高い近畿選手権である。これは負けられない、気持ちが高まった。
決勝は9レーンに決まった。レーンの中で右寄りを走る傾向がある自分にとって9レーンは最も好きなレーンである。 周りを気にすることなく自分のペースで走れる。キレのある動きをすることにポイントを絞り、アップをすませ、さあ決勝のレース。 かなり集中した状態に持っていくことができていたため、苦手のスタートでもさほど出遅れず、中盤以降は天理大学の選手との一騎打ち。 ほとんど同じリズムでハードルをクリアしていった。1台でも引っ掛けたほうが負けるというスリリングなレース展開。 途中「〇レーンは〇〇君」というアナウンスが流れるので、自分の名前が呼ばれたらトップだなと自信が持てるものなのだが、 今回は耳に入ったような気がするが内容は記憶にない。相手の名前を呼んでいたような気もする。 10台目まで大きなミスなくハードルを越えたが、まだ天理大の紺のユニフォームが視界に入っている。 「今日は勝つ!」、思いっきり上半身を前傾させて、左肩を突き出してフィニッシュ。そして転倒。 左肩と右の手のひらをすりむいてしまったが、すぐに立ち上がってランニングタイマーを見た。
9 14"19「よっしゃ!!」ガッツポーズで今日の優勝をかみ締めた。2着は14"21。意地の勝利。予選のタイムから0"59秒短縮することができた。 風の影響は大きいが、集中力の結果でもあると思う。そんなに調子よしと感じていたわけでもないのに、14"1台。 レースの瞬間の気持ち次第で結果は大きく変るものだと身にしみて感じた。秋のシーズンがますます楽しみになってきた。 帰宅して、パソコンでHPを更新している自分の左肩と右手には、応急処置でしてもらったガーゼ。まだ少々痛みもあり、 キーボードからの入力もやりにくい状態になっているが、ゴールに飛び込んで転倒し、100"2秒先着することができたこの痛みに、 後悔は全くない。まさに「名誉の負傷」である。 今後への影響としては、走ることには全く問題なしだが、ウエイトのシャフトを握ることにやや不自由があるかもしれない。 手のひらの小指の付け根の部分なので、できるとは思っているのだが、万が一、シャフトを握るのが難しかったとしたら、 その時はその時、思い切ってウエイトをなしにして、他の練習で身体をつくってみるのも面白いかなと思っている。
2010/9/12 姫路選手権 (姫路)
- 予選 15"73 (-3.1) (2着)
- 決勝 14"79 (-2.1) (2着)
近畿選手権の前よりは調子よしと感じていて、記録を狙いにいった姫路選手権だったが、不発に終わった。 予選。ホームストレートは強烈な向かい風。ここで記録を狙うのは無理だと判断し、流して通過。それにしてもタイムが悪すぎる。 決勝。向かい風であろうが、なんであろうが全力を出し切るのみ。一発集中して走ってみたものの、後半失速、岡山ACの田村選手との勝負にも負けて第2位。無念。 調子は上がっていると思っているのだが、今回はコンディションにも恵まれず、不本意な結果となってしまった。 しかし、今年は順調に結果が残せた大会が続いていたので、たまにはこんなこともなくては。「負けた悔しさ」を大切に、 次はいよいよ秋の最大のイベント、全日本実業団を迎えることになる。 会場の新潟ビックスワンといえば、社会人4年目にして初めて全日本の決勝に残った思い出のスタジアム。 その時は決勝で全く自分の走りができなかったが、決勝に残れたことで満足していた。しかし、今年の目標はあくまで決勝で勝負すること。 毎年のことながら、スタートリストを見る限りでは分が悪いが、決勝で13"90を目標に、新潟へ向けて気合を入れなおす。
2010/9/26 全日本実業団 (新潟ビックスワン)
- 予選 14"45 (+0.4) (3着)
秋のシーズン最大の試合と位置付け、自分なりには調整もきちんとして、決勝で勝負することを目標に臨んだ大会だったが、残念ながら予選落ちという結果に終わった。 申し込みタイムでは16番目で、予選のタイムは13番目。1着+3の予選のプラスの3番目のタイムは14"24。決して出せないタイムではなかった。 自分の走りを振り返ってみて、絶好調と感じる時に比べると「身体のバネ」が足りなかったの気がする。インターバルが狭く感じなかった。 また、今季の自分のハードリングは、やや強い追い風が吹いたときに噛み合う走りになっているのかなということも感じた。田野中選手(富士通)、内藤選手(ミズノ)などは、 ハードルの向こうに抜けるような力強さがある。古川選手(小島プレス)など小柄な選手の、ディップを深くかけた、 遠くから跳んで遠くに着地するようなイメージを比較的強く持って練習をしていたが、今季これ以降は、身長を活かした、 力強い「ハードルの向こうに抜ける」イメージを持って練習してみようかなと思った。跳ぶイメージより挟む、あるいは跨ぐイメージを強く持って。 腰はしっかりハードルにプレスすること。風に押されなくても前に進めるように。 残すところ今季も後2試合で、1週間後の秋季記録会とその4週間後の香川カーニバルとなった。 来週は今のコンディションを維持する感じの練習を、その後3週間は思い切って質の高い練習をしっかり行う。 そして最後の週は疲労を抜いて調整をする。こんな感じでいこうかなと考えている。 秋にシーズンベストを出すということは、今までの経験からしても、なかなか難しいことは承知の上でのこのプラン。 しかし出場しなけば可能性はゼロだ。自分の可能性を信じて、目標タイム13"90をしっかりと見据えて、例年通りではない、思い切ったメニューを立てて、目標達成を目指したいと思う。
ところで、今回の全日本実業団が10回目の出場となり、「10回出場」の表彰を受けた。1位から3位に続いて、おまけみたいな形ではあるが、全国規模の大会での表彰式は初めて。 実はこの表彰、数年前までは「10回連続出場」だった。それが「10回出場」に条件が緩和された。しかし自分は「10回連続」。誇りにできるものだと思う。 後日、その10回の記録が刻まれた記念プレートが送られるそうだ。楽しみに待ちたい。 また、今回走った新潟ビックスワン。来るのは2回目になるのだが、とてすばらしいスタジアムである。 2002年日韓ワールドカップまでに、全国に大型スタジアムがいくつも建設された。 さらに、全国規模の大会に合わせ、各地の競技場が改修され、すばらしい競技場で走れる機会がとても多くなっている。この時代に選手であれることを幸せに思う。
2010/10/3 秋季記録会 (ユニバー)
- 14"40 (+1.9) (1着)
ちょうど一週間前の日曜日に向けて調整をしてきていたので、例年通りなら出場しない記録会であるが出場することに決めた。理由は次の3つ。
- 調子(身心共に、特に心の部分)を維持できると思ったから。
- 秋のユニバーは追い風になる可能性が高いと思ったから。
- 香川まで5週間あけるよりは、1週間+4週間のほうが調整しやすいと考えたから。
- 月 ウエイト
- 火 Rest
- 水 ハードル(やや多目)
- 木 Rest
- 金 体育大会200m
- 土 Rest
- 日 試合
- 引き込む踏みきりとコンパクトな振り上げの方向・タイミングを合わせて推進力を得る。
- ハードルの向こうに抜ける。
- 力を入れずに力を伝える。力が身体の中へ向かうのではなく、外へ向かう。
- 受動的ではなく能動的に走る。インターバルの3歩を走る。
- ハムストリングスで押す、腰の乗ったスタートダッシュ。
2010/10/30 香川カーニバル (丸亀)
- 予選 14"59 (+0.0) (1着)
- 決勝 14"72 (-0.7) (4着)
出場しないと記録が出る可能性は「ゼロ」。だったら出場するしかないという思いを持って出場した訳だが、 今年に関しては、体力的にも気持ちの面でもエネルギー不足が否めない状況だったように感じる。 もちろんできる限りの練習はしてきた。手を抜いているわけではない。しかしそれは自分が求めるレベルに達していなかった。 まず、体力的な面。今年の後半の流れから振り返ってみると、夏の終わりの近畿選手権で「勝ちたい」という思いがあったから、 県選手権後の7月中こそ、それなりに追い込んだ練習をしたが、8月は疲労をためないということに気を配りながらの練習になっていた。 それがベースの部分のレベルを下げていたように感じる。「動き」や「感覚」をいくら重要視した練習をしても、 一番大切な「基礎体力」の部分がしっかりとしたものでなければ、全く思い通りの動きにならない。 次に、気持ちの部分。試合へ向けてモティベーションを高めていくということは、簡単そうで実は大変難しい。 全日本実業団が終わってから、試合に向けての気持ちを維持しよう維持しようとは心がけていたものの、維持しようと思って維持しているそれは本物ではない。 決勝のレースは、スタート3歩目でこけそうになって、その後も散々な走りになってしまったわけであるが、終わって悔しい気持ちよりも、 言葉で言い表すのは難しい気持ちであるが、終わったという感覚のほうが強かった。 結果だけを考えると、今年の香川カーニバルについては、出場を決めた選択が間違っていたとも見れなくはない。 ただ、結果は悪かったが、この4週間は試行錯誤の練習をすることができていたので、そういう面では来シーズンにつながる出場になったとも思える。
最終試合は結局パッとせずに終わってしまったが、今季は自己ベストとなる14"05を記録し、さらに14"1台を3回出すことが出来た。全体的にはよしとして良いだろう。 「変化することが進歩である」と前述しているが、一方で「変化させる部分と変化させない部分」を見極めることも重要である。 今までの経験を踏まえて、変化させてはいけない部分は今まで通り行う。冬季練習を通じて、耽々と積み重ねていかねばならない。 それに加えて何か新しい、自分にとって本当に必要な取り組みを実践する。そのふたつ、今まで通りの取り組みと新しい取り組みが上手い具合にかみ合ってくれれば、 きっと来年こそは念願の13秒台、さらには兵庫県記録を上回る13"90に到達できるはずだ。 シーズン全体の流れ、トレーニング方法など、新たな作戦として考えていることはいろいろある。 冬季練習は確かにしんどい。しかしそれをきちんとこなすことが出来れば必ず春にはひとまわり大きく成長した自分に出会える。 だから冬季練習が楽しみだ。冬季練習を経て新しい自分と出会えることが本当に楽しみだ。1日1日の積み重ねが自分を変える。1日1日の積み重ねが夢をかなえる。 昨年の最後の試合の欄に掲載した詩を再掲載し、今シーズンを締めくくる。
「夢唄」 コブクロ
夢をかなえる一番の方法 君に教えよう
それはかなうまでやり続ける事 自分を信じて