2012 (H24/社12/33歳)

2012/3/17 兵庫実業団記録会 (尼崎)

昨年4月の腰痛以来の股関節周辺の筋肉の違和感(痛み、硬さ)とうまく付き合いながら、この冬は例年以上に土台作りをじっくりと行ってきた。 3月になって少しずつスピード練習を入れ、天候不順でグラウンドが使えないことも多くあったので、ミニハードルなどで技術的なイメージを大切にする練習をこなしてきた。 今日の結果に対しては、まだ3月17日という早い時期であるし、この日は朝から雨で思うようなウォーミングアップができなかったから仕方がないと自分の中では解釈している。 まだ結果を気にする時期ではないことも頭では理解しているが、気持ちの面では、もう少し良いタイムで走っておきたかったなというところもある。 そんな「欲」を感じることができたことはこの日の収穫であった。 今後は、4月3日神戸市記録会200m、4月8日春季記録会を経て、まずは5月3日の郡市区陸上を目指す。

2012/4/4 神戸市記録会 (ユニバー)

昨年、一昨年と、練習の一環で出場している第1回神戸市記録会の200m。 今年に関しては股関節(左脚の内転勤から鼠径部)の慢性的な痛みが取れず、やめておこうかなという気持ちも湧いてきていたが、 今までやってきたことをきちんとやれないことに対する不安のほうが強かったので、やっぱり走った。 弱気な部分を持ちながらのレースになったが、結果は風も考慮にいれると、昨年22"58(+2.4)、一昨年22"54(+1.7)と比較してもそう悪いものでもなかった。 前回の記録会の結果が低調であったこと、その後も痛みを抱えながらの練習になっていたことで、 競技に対して気分的に沈んでいたところもあったが、今日の結果は自分の中でそれをすっきりさせてくれるものになった。 状況は自分が感じているほど深刻ではないと受け止めたい。日曜日の記録会ではハードルのほうで気持ちのよいレースがしたいものだ。 年齢を言い訳にして、練習量を減らすことは「妥協」につながると、根性論的な発想で思い続けてきたし、そのような考え方を大切にしてきた部分がある。 しかし、その発想も徐々に切り替えていく時期に差し掛かっているのかもしれない。練習量に代わる何かを求める必要があるのではないか。 それは決して自分の中で限界を作ることではないのだ。 最近神戸新聞に「挑戦 室伏広治(ハンマー投げ)」という記事があり、興味深く読んだ。その中から特に気になった部分を抜粋する。

上 年齢の壁

中 創意工夫

下 究極の一投

2012/4/8 春季記録会 (ユニバー)

ハードルとしては今年2本目。走る前に決めた目標は14"70。前回の200m同様、向かい風2.0mを考えると、記録としてはほぼ予定通りの走りができたと思う。 ただ、内容についてはまだまだ改善点が多い。求めたい動きのイメージはあるので、今後の練習では、正しい動きを反復することで、理想的な動きの自動化を目指す。 ここ数年、ずっとこの記録会では1着でゴールしていたのに今日は3着に沈んでしまった。 しかし、そのことはまったく気にならなかった。今日勝負しに来ているのではない。まだまだこれからだ。 次回5月3日の郡市区陸上と、その次5月20日の関西実業団は春季前半の重要な大会なので、きちんと勝負できるように、きっちり仕上げていこうと思う。 この2試合は日本選手権の標準を切るラストチャンスでもある。昨年まで7年連続出場中。出場するにはA標準(14"00)を突破するしかない。

2012/5/3 群市区対抗 (ユニバー)

前述の通り、春季記録会後、まずはこの大会を目指して、強化練習と調整を行った。そして、調子はまずまず、身体もそこそこ動くようになってきているという状況で今日を迎えた。 昨年の郡市区は腰痛のため欠場、県選手権は山根選手に惜敗し第2位という今までの流れがあったので、今日は「決勝で勝負」と決め込んで、 予選は途中から軽く走った。タイムは14"89。悪くもないが良くもない。しかし今日は決勝で勝負なんだと割り切って、決勝のレースに向かった。 その決勝では「誰かがフライングをする」ことは想定していて、実際にその通りになり2度目のスタートとなった。 気持ちの準備はしっかりできていたと思うのだが、ピストルへの反応が悪かったようだ。周りの複数の人たちから「スタートで出遅れたね」と言われた。 自分の中で特に慎重にいったつもりはないのだが、確かに最近反応が遅い。一方、スタートの技術的な部分については良くなってきていると感じている。 現在の練習では、自分のペースで「ヨーイ」の腰を上げて、比較的時間をかけて筋肉の緊張を確認してから自分のタイミングでスタートするということを繰り返しているが、 動きが定着しつつあるので、ピストルを使ってのスタート練習も取り入れようと、今日の試合で感じた。 話が少しそれたが、決勝はとにかくスタートで出遅れた。中盤の走りもややバランスを崩したものになってしまい、1着の山根選手とは0"09秒差で2着。 また負けた。しかしこの時期にしては自分なりにうまく仕上げられたと思っているし、身体もそこそこ動いてきているので、走って不快なレースではなかった。 リベンジは県選手権で。その思いをモチベーションに変えられればそれでよい。 次は、5月20日の関西実業団。冷静に考えて、ここで日本選手権の標準記録を破るのはかなり厳しい状況だが、1日1日できるだけのことをしていくしかない。

ところで、大会に行くといろんな人に出会う。先日行われた神戸市民大会では自分より4つくらい年上の岡野選手(KOBE.AC)が11"15。 今日の高校以上走幅跳では進藤温美選手(加古川市・女性なので年齢は詳しく知らないが自分よりは上)が優勝していた。 進藤佑介選手(住友電工)も自分よりは1つ下だが、相変わらず頑張っている。今日も100mで決勝に残っていた。決勝では8位に沈んだもののついつい注目してしまう。 同じ30代アスリートの活躍は自分にとってはうれしいし励みになる。今日は赤堀選手(ウインドアップAC)とも話をしたのだが、 自分のがんばりもまたほかの人にとって励みになっているのだと思う。 また、今日の110mHの決勝を一緒に走った、岡山大の宮内選手は伊川谷のOB、大阪教育大の田中選手、廣瀬選手は高校時代伊川谷高校まで練習に来てくれた選手。 身近な選手が多い。そして決勝のレースの前には伊川谷高校の生徒たちが大きな声で声援を送ってくれた。本当にありがたい。レースの前に力をもらった気がした。 いろんな人の中で選手として陸上競技を楽しませてもらっているのだなと改めて感じた1日でもあった。

2012/5/20 関西実業団 (尼崎)

平成15年、平成21年に続いて3度目の優勝を飾ることができた。記録はそれほど良いものでもないが、優勝は気持ちがいい。 日本選手権の参加標準記録(14"00)を突破するラストチャンスでもあったわけだが、客観的に考えて可能性は極めて低いことは理解していたので、 それについてはあっさり気持ちの切り替えがついた。気持ちの切り替えがついたというよりも、もともと切り替えはついていた。試合はそれだけではない。 むしろ関西実業団後きちんと練習を積んで、もっと先の試合を目指したほうが記録を出せる可能性は高いのではないかと、前向きに目標を修正できていた。 今日のレースを振り返ってみて、レース中に「動いている」というような感じは特になかったが、後半の接戦の中で冷静にインターバルを流れの中で走るのではなく、 意識してきちんと走れた点が良かった。課題のスタートから1台目の走りもまずまずうまくいった。しかし、どれをとっても100点ではなく、 スタートからゴールまで安定して80点で走ったような感じだった。インターバルのタイムを0"05秒短縮するために必要なことを 自分なりの理論の中でじっくり考えて追及してかなければと感じた。 今後は3週間きちんとトレーニングを積んで1週間回復週を入れたその週末、6月17日(日)に関西実業団記録会(尼崎)に出場。 その翌週は強化練習、そしてその翌週に調整を行って7月1日(日)は大阪選手権(長居)。そして、同じサイクルで2週後の7月15日(日)兵庫選手権(ユニバー)を目指す。 大阪と兵庫できちんと記録を出して勝負できるように、もう一度身体を作り直そうと思う。 大阪選手権と言えば平成16年に当時の自己記録を出した大会であり、それ以来の出場となる。 その年の大阪14"20(-0.7)→兵庫14"25(-1.3)の流れは非常によかったので、その時の日誌もひも解いてみて、それを8年後の自分にあうようにモデルチェンジさせて、 13秒台を狙えるレベルで再現したい。ちなみにその年の関西実業団(丸亀)は14"58(+0.6)であった。単なる強気発言ではなく、本気で13秒台を狙えそうな気がしてきた。

追伸

ユニフォームに着替えてのレース前最終練習の時だった。ハードルを跳び終えてスタート地点に戻ろうとすると、 スタンドの一番前から「福田君がんばって~!!」と大きな声援を送ってくれるひとりのおばあちゃんに気がついた。 しかし、鮮やかなブルーのTシャツを着た、きゃしゃな体つきのそのおばあちゃんに見覚えはない(知り合いの方だとしたら失礼な話だが)。 なぜこんなに大きな声で応援してくれているのか分からなかったが、とりあえず会釈をしてスタート地点に戻った。 次はレース前の選手紹介の時。今度もスタンドの一番前から大きな拍手を送ってくれた。自分の耳に届いた拍手は、100%このおばあちゃんの拍手だったと思う。 そのおばあちゃんは自分の時にだけ大きな拍手を送ってくれていた。 最後は表彰式。表彰台の前のスタンドからまたしても大きな拍手を送ってくれ「福田君おめでとう!!」と大きな声で言ってくれた。 「誰だったかなぁ?」「どこかでお会いした方かなぁ?」と繰り返し考えるが出てこず、とりあえず表彰台の上から、会釈と表情で声援に応えた。 おばあちゃんのきていたブルーのTシャツに「Otsuka」の文字(この大会の協賛大塚製薬のロゴ)が入っていることに気がついた。 試合を終えて帰る直前、そのおばあちゃんのことが気になり、お礼をしようという気持ち半分、誰だか気になるという気持ち半分、 それに加えて、ちょっと躊躇する気持ちも抱きつつ、スタンドに上がり、Otsukaのブルーのシャツを探してみた。しかし残念ながらそのおばあちゃんを見つけることができなかった。 いったい誰だったのだろうか? わざわざ競技場に足を運んで応援してくれるおばあちゃんに心当たりがない。 でも、体全体で声を出して応援してくれたそのおばあちゃんからは、確かに力をもらった。応援されて嬉しかった。 この場を借りて応援ありがとうございました。

2012/6/17 関西実業団記録会 (尼崎)

関西実業団でいい感触をつかんで、その後3週間計画通りしっかりトレーニングができた。 200mのテンポ走では確実に24秒台で走れるように、レストをいつもより2分くらい長くとってきちんと走りきった。 また、立5段跳をウエイトのメニューの中に積極的に取り入れて、砂場に入るぎりぎりのラインを探りながら行ったり、 ボックスジャンプで垂直系の短時間でのジャンプ運動を行ったりした。計画通りの強化練習を終え、今週はやや強度を落として迎えた今日の記録会であったが、 結果は良くなかった。ただ、コンディションはそんなに悪くないといった印象だ。「身体はそこそこ動いていたけど、バネがなかった」自分としてはこんな感じか。 その日のタイムというのは、その日のコンディションによって、あるタイムを中心とした正規分布に従っているというイメージで、 例えば今日の体調なら14"70を平均として、±0.4秒くらいの範囲で95%以上の結果がおさまっていて、 今回の結果は今日の体調で出る下限あたりの結果だったのではないかと理解する。何の論理的根拠もないのであるが。いまいち集中しきれなかった。 タイムは悪かったが、それを今後のトレーニングの指針にする必要がある。今週と来週の過ごし方を微調整しようと思案中だ。 今週は、試合10日前から1週間前の刺激入れを行う必要があるのだが、天気が悪そうなので工夫が必要かもしれない。 限られた時間と練習場所の中で、もっとも効果的なトレーニングをチョイスしていく。 そんな作業もまた面白い。とにかく、繰り返しになるけれども、タイムは悪かったが、大阪選手権、兵庫選手権にむけて、心身ともに良い状態を保てているので、 このチャンスをものにできるよう、ベストを尽くしたい。

参考までに。今回イメージしている2004年の流れを振り返ってみると、6月12日の神戸市記録で、15"25(-1.0)。 その3週間後の7月2日の大阪選手権で14"20(-0.7)。ある意味では本当に計画通りになっているかも? 1"05記録を短縮しているということを、今年にあてはめると次回は13"91。ちょうど兵庫記録に到達する。

2012/7/1 大阪選手権 (長居)

日本選手権に出場できなかったので、今季前半の最大目標を大阪選手権と兵庫選手権とした。今回ははその第1戦である大阪選手権。 2週間前の記録会では低調な記録だったが、練習の流れは悪くなかった。自信を持って自分が考えるベストをチョイスして、この2週間を過ごした。 雨でグラウンドが使えない日が多かったので、時間を見つけて明石の競技場へ行き雨の中200mを走ったりもした。23秒台で3本、納得のいく刺激入れの練習を行い、 今週は練習量を落として疲労を抜くことと、動きの感覚を確認することに重点を置いたトレーニングを行い、前日に長居入り。 その日も近畿高専陸上の役員にあたっていたので、朝6時50分から学校で最終調整を行ってからユニバーへ向かうなど、 できる範囲で時間をやりくりした。試合前は特に勝負へのこだわりはなく、とにかく満足のいく走りをしたいと考えていた。

予選。きちんとフィニッシュまで走り、向かい風の中で14"59。タイムはそう悪くない。準決勝で勝負しようと考え、次に備えた。 準決勝は14秒台に24人がひしめきあう大混戦。楽しみ。 準決勝1組。トップは先日の関西実業団では勝っている緒方選手。「がんばってるな」とは思ったが、アナウンスが耳に入っただけで、 その時点では、他人のレースや結果はほぼ気にしていない。自分がすることに集中するのみ。自分は3組。2組のライブリザルトをまったく気にせず、 ブロックをあわせてスタートの準備をした。そしてスタート地点に立った時、長居のスタンドの大きな屋根に当たる雨の音が急に大きくなり、 その数秒後トラックにも激しい雨が降ってきた。コンディションとしては悪くなったわけだが、他の選手は学生ばかり、自分が一歩優位に立ったと解釈。 「雨が降れば伊川谷有利」。硬式野球部のスケジュール表にこんなことが書いてあったことをふと思い出す。 「位置について」。雨は少し弱くなってきた。「ドン」。前半は現段階では合格点か。しかし中盤から後半にかけて、隣を走る中京大学の選手と接触し、 自分が後ろに押される形になり、彼に続く3着にとどまった。トップは関西学院大の山根選手で速報は14"09。 トップともそんなに離れている感じはなく、どれくらいのタイムが出たのか期待しながら結果を待ったが、 ちょうど大阪陸協の表彰式が始まり20分近く結果が出されなかった。その前に予選2組の結果が出て、3着14"34。4着14"37であったことを知る。 14"3台は出ているだろうという感触はあったので、なんとかあと1本と願いながら結果をかなり待って、ようやく発表された。14"41。「あ~あ」。 14"4台かとがっくりし、決勝にも残ることができず、大阪選手権は終わった。試合前は勝負にこだわるつもりはなかったのに、 あの時は完全に決勝に残りたいといと願っていた。結果は「負け」だったけど、「試合」の醍醐味を味わえた。 都道府県レベルの大会で決勝に残れなかったなんてここ最近記憶にない。どんな大会でもあと1人、あ0"0何秒で涙をのむ選手がいるんだなと久しぶりに実感できて良かった。

ところで大阪選手権には招待の110mHがあり、サブトラックで今年の日本選手権獲得者である八幡選手を見かけた。 自分より2つ年下で過去に何度も一緒に走ったこともあるし、彼に勝ったこともある。 それはさておき、彼のアップを見ているとアプローチを7歩で走っていることに気がついた。非常にスムーズな動き。好調さの原因はここにあるのかと感じた。 一方で自分が出場した大阪選手権のほうの110mHに目を向けると、学生が元気。動きは悪くても、バネがあり、スピードがあり、勢いがあり、若さがあった。 昨日大阪駅で1冊の本を買った。「室伏広治 超える力」。昨日の夜から読み始め、帰りの電車でもずっと読んでいた。 若いころはパワーとスピードで84m86を投げたが、年齢を重ねて、怪我を経験して考え方が次第に変わっていく。84m86を投げた2003年、 室伏選手は「現状のやり方を続けている限りは世界記録は破れない」とコメントしている。 父重信氏の話が出てくる。「もちろんすべてが成功するわけではなく、あらたな『回路』から得られたアイデアの半数は失敗した。 そうした失敗を経て、また考える。その繰り返しで分かってくることがある。」

次は兵庫選手権。目標は優勝。若さとスピードで乗りに乗っている学生たちに勝たなくてはならない。 さあどうする。大阪で感じた学生の「若さ」と「勢い」、それとは対照的に準決勝で敗退した自分の現状。 八幡選手のサブトラックでの動き、さらに室伏選手の本の内容(まだ読んでいる途中だけど)。 いろいろ考えさせられる1日となった。頭の中を整理して、兵庫選手権で勝つ為の作戦を考えなくてはならない。

2012/7/15 兵庫選手権 (ユニバー)

本当に気持ちのよい優勝だった。勝ってうれしかった。率直な感想だ。 昨年の兵庫選手権では、「『負けて悔しかった』これしかない」と書いている。 伊川谷高校のミーティングでも「今回だめだったのなら次回頑張るしかない」と話した記憶がある。 悔しさをバネにという使い古された言葉もあるが、今日は本当に負けた悔しさがあるからこそ勝った喜びがある、ということを実感できた。 2年ぶり8度目の兵庫選手権優勝であった。

大阪選手権で大学生の勢いを目の当たりにし、今日の試合にどう挑もうかとあれこれ考えた。「経験」「技術」「思考力」というキーワードが思い浮かんだ。 練習日誌には赤字でびっしりその日の練習で得た感覚や思い浮かんだイメージを書き込んでいき、動きのイメージを作り上げていった。 「自分ができることをきちんとするしかない」、こんなことも書いているわけだが、「勝つ」ためには当然相手を知ることも必要なので、相手のことも考えた。 まず、申し込みランキング1位で今年の日本選手権2位の青木選手は、エントリーしているけど今までの様子からしても出てこないだろうと想定。 案の定今日はDNSだった。次に大阪からやってくる同ランキング3位の緒方選手は、前回の大阪選手権で自己ベストに近い記録で2位に入っており、 今回はモチベーションも調子も落としてくるに違いないと考えた。結果は14"9台で予選落ちだった。問題は元気のよい関学勢。 ただ、彼らも大阪選手権のあと先週は西日本インカレにもでており、兵庫選手権では100mや200mにも出ていたので、間違いなく疲れているはずだと考えた。 結果は3位山根、5位上野、7位村田、8位篠原。記録も低調であった。そのようにして「自分が勝てる」という妄想を膨らませていた。 一方で、今週になって左(踏み切り)脚のハムストリングスがガチガチに張っていて、かなりこわばりのある状態だったので、 不安も結構な割合であった。当日はキネシオテープを貼り、入念にストレッチをし、予選では久しぶりにランパンではなくショートタイツをはいて走った。 ただその不安は、予選を終えた段階で大丈夫そうだと感じたのでほぼ消えていた。 決勝。作り上げてきた自信を胸に走った。2台目で浮いてしまいややリードを奪われたが、中盤で追い付き、 8台目以降は完璧に周りを抑えた。技術、経験、思考力でつかんだ優勝だったと思っている。今シーズンのひとつの目標が達成できた。

さて、今後は夏の鍛錬期を挟んで秋のシーズンを目指すことになる。今季の前半は14"4台が3回出たものの、記録的に不本意であったので、 秋には記録を出せるようになんとかしたい。具体的な大会としては、近畿選手権(西京極)、全日本実業団(博多)、田島記念(山口・維新百年)を予定している。 創意工夫で14"4台の今の流れを打ち破れるか。13秒台への挑戦は続く。

2012/8/13 三校定期戦 (明石)

2012/9/8 近畿選手権 (西京極)

身体を競技的状態に仕上げることができず惨敗。しかし、今後に向けて気持ちを前向きにすることができた。今回の近畿選手権はそんな感じだった。 表彰台に上がれなかったのは、フライングで失格になった2004年を除くと2002年以来。いったい何年振りだ? 兵庫選手権が終わってから、3週間は量と質を求めた練習をきちんと行えたのだが、その疲労がなかなか抜けず、夏の暑さもあり、 その後はキレのある動きでの練習がができず。8月中旬以降は、疲労回復とスピード練習を交互に入れて、 まずはこの近畿選手権を目指したが、今日走った感覚では、疲労は抜けてきているが、身体は競技的状態に仕上がっていないといった感じだった。 1台目でスピードを獲得できていないので、無理やり走る、力んで跳ぶ、バランスを崩すといった悪循環に陥り、 決勝のレースは、バタバタと何が何だか分からないような状態で走ってゴールしたといったものだった。 昨年以来、身体のどこかにガタがある状態が続いており、そんな中での調整をしていると、低調な記録の原因を年齢と結び付けて考えてしまうこともあるが、 そういう発想は好まない。過去を振り返ってみても、2007年の全日本実業団14"98(-1.0)や2009年の関西実業団14"99(-1.5)など調整をして臨んだ大会で全く振るわなかったこともあるし、 長期的な好調不調の波もある。記録が低迷することは今までにもあったので、今の状況もそれと同じようなものであると考えたい。今後は2週間間隔で全日本実業団(博多)、 秋季記録会(ユニバー)、田島記念(山口維新百年)と試合を続けて入れてみた。 試行錯誤しながら1日1日ベストを尽くし、秋のシーズンに挑戦したい。

最後に今回の近畿選手権は、日本インカレ直前ということで有力学生選手が軒並み欠場している中、 日本インカレにはまだ出られない、自分も良く知っている学生連中がワンツースリーを占めた。 レース後、表彰の時の服装はどうするのかなどと盛り上がっている彼らを見ていると心が洗われるような気がして、 普段はあまり見ることのない表彰式をきちんと見届けきた。そして、その光景を自分のエネルギーに変えて、競技場をあとにした。

追伸

世界記録が出たというニュースが飛び込んできた。12"80。 こっちも何が何だかわからない。

2012/9/23 全日本実業団 (博多の森)

近畿選手権後、夏の疲労もいい感じに取れて、今までにも増して念入りにケアをしてきているおかげでか、身体の状態もかなり良くなってきた。 自分の中でも調子は上向きと確信して出場した、今年の全日本実業団は、昨年とまったく同じタイムである14"47にとどまり、予選落ちという結果に終わった。 予選全体で14番目。プラス3番目のタイムは14"18。申込みタイムは上がっているが結局例年通りの14"1台であった。 スタートリストを見て、作戦を練るわけであるが、今年の場合は組が良く、1着を狙うしかないと考えた。調子も上がっていると感じていたので。 申込みタイムで13秒台は4人。今関選手は最近の他の試合でタイムが悪く勝てるだろう、青木選手は棄権の可能性がある、内藤選手は一時期の勢いがない、 吉永選手はこの4人の中では一番手ごわそうか。勝手にこう考えていた。結果は今関選手には計画通り100分の1秒先着、予定外で吉永選手が欠場、 ここまでは良かったのだが、青木選手が出場しておりこの組トップ(決勝は欠場しているので半分予想は当たった?)、内藤選手が組で2着の14"2台。 大会記録保持者でもある内藤選手に勝ってやろうという気持ちは強かったのだが、14"4台では残念ながら勝てず。結局組で3着で予選落ちであった。 作戦通りにはいかず、決勝を逃したが、風にも恵まれたおかげで走った感じは良く、今後に向けて自信となる1本となった。 今の状態であれば質の高いトレーニングができそうな感じもあり、技術的なイメージも固まりつつあるので、秋季記録会、田島記念ではいい結果が出ることが期待できそうだ。 昨年から今年にかけて、14"4は何度も出ているので、そろそろその壁を乗り越えて、心身共に13秒台を狙える体制を整えたい。

2012/10/7 秋季記録会 (ユニバー)

前回が14"47(+1.6)、今日が14"50(+1.7)。ほぼ同じタイム。予定通り、良いコンディションを維持しながらトレーニングを進めることができている。 ただ、今日は主観的にそれほど調子が良いといった感じでもなかったし、レース内容もそんなに良くなく、後半バタバタした感じがあった。 そんな感じでも前回とほぼ同じ結果であったということに、手ごたえを感じることができた。 今年の最終目標は2週間後の田島記念。今回はそれに向けての通過点に過ぎない。来週は少し強めの練習をして、 再来週はしっかり回復させてキレを出すという計画。最終戦をシーズンベストで締めくくれるよう、1日1日ベストを尽くすのみ。

2012/10/21 田島直人記念陸上 (維新百年)

秋季記録会の翌週は、走ってもハードルを跳んでも、感覚的にもタイムを見ても今シーズンで最も良い状態を維持できた。 しかし、先週金曜日、スナッチで久しぶりに95Kgまでプレートを増やして、一発ガツンと力を出す刺激入れを行った次の日、腰に激しい痛みが生じた。 自分の見立ては激しい筋肉痛。いつも通りの調整方法なのだが、調子がよかっただけに見えない形で身体のあちこちに負荷がかかっていて、 それが一気に表れたのだろうか。とにかく、土、日は靴下も履けない状態。大会の役員で椅子に座っているのも苦しい。こういう痛みは日にち薬。回復を待つしかなかった。 月曜、まだ痛みが残るが予定通りマシンを使った軽めのメニューはこなせた。火曜は完全休養。ひたすら回復を祈る。 水曜はドリルを中心とした軽めのスプリント。幸か不幸か雨が降っていたので体育館のフロアで行った。 右脚(リード脚)のもも上げ時に左腰にテンションがかかり動きに制限がかかるが、それ以外の動きはそこそこにできる。しかも身体は軽い。 パイプ椅子を並べてハードルドリルまできちんと行えた。不安が少し解消された。木曜、久々の実戦練習。ハードルも跳べる。しかも調子は良い。 腰に激痛が走り、一時は出場を諦めることも頭をよぎったが、結果的にほぼ予定通りのメニューを消化できた。現在、20日午前7時半、 左腰にまだしこりがあるような感じではあるが、やれるだけのことはやってきた。気持ちもふっきれた。走れることに感謝。今から最終調整をして、山口に向かう。

残念。シーズンベストという目標達成の可能性は十分にあった。朝から念入りにウォーミングアップを行い、サブトラックでの感触はとてもよかったが、 レースで思うような走りができなかった。非常に残念。行く前は走れることに感謝なんて本気で思ったが、やっぱり結果が出なければくやしいものだ。 客観的に考えてみて、レース内容が悪かったとはいえ、いまの実力はそんなもんだということじゃないのかとも思う。2012年もあっという間に終了した。 はたから見れば、福田もぼちぼち衰えてきたんじゃないのかと思うかもしれないが、私にそんな意識は毛頭ない。 大きな調子の流れの中で、今は低迷期にあるという認識である。振幅が大きいほど底も深いがピークも高い。 今のモチベーションを維持して競技と向かい合っていれば、来年か再来年か、もう一度自己ベストを狙える時期が必ずやってくる。そう信じている。 ただ、同じことを繰り返していては進歩がないので、思い切った取り組みが必要だとは思っている。昨年の腰痛以降、内転勤、鼠頸部、ハムストリングス、 そしてまた腰、骨盤の左側に偏って常に痛みや張りがある状態なので、まずは休養をいつもより多めに取って、良いコンディションを取り戻してから、 本格的な冬季トレーニングに入ろうと思う。

最後に、最近、年齢を重ねてもなお活躍しているスポーツ選手の本を読みあさっている。その中から、勇気づけられる言葉を掲載して、今シーズンを締めくくろう。

「試練が人を磨く」 桑田真澄

トレーニングを積んで、節制さえすれば40歳でも今の投球内容を維持できる。トレーニングをして、節制すればきっとできる。自信は練習に裏打ちされている。練習のやり過ぎは科学的に良くないとさんざん言われたけど、僕はそう思わない。優れた選手ほど、よく練習している。いかにがんばるか、ただそれだけだ。

「信念を貫く」 松井秀喜

微調整がすなわち進化であるかどうか分かりません。退化につながるかもしれない。でもそれも遠回りだと思っていません。貪欲に微調整を続けていくことが、結果的に進化につながっていく。

「不動心」 松井秀喜

素質や能力にそう大きな違いはない。差が出るとしたら、自分になにが欠けているかを正確にうけいれ、それを補うための正しい思考を持っているかどうか。そして、補う努力を継続しているかどうか。

「超える力」 室伏広治

勝ち続けることにも価値はあるが、負けることでさらに深く競技を追求できる。自分を超えていくためのプロセスには苦しみも伴うが、同時にそれは苦悩に打ち克つことであり、アスリートの悦びでもある。

「やめないよ」 三浦知良

タイミングを計って引退するなんてことはもはや僕の選択肢にはない。そんなことも考えずに、ただ今日も一生懸命やる。明日も一生懸命やる。それだけなのだ。

「進化する強さ」 クルム伊達公子

一度ケガで落ちた苦しみからはい上がったこと。ケガをするのは必ずしもマイナスではなく、それを乗り越えた時にプラスになるということ。過去に壁を乗り越えた経験は今に生きて未来につながる。

「133キロ怪速球」 山本昌

野球にウソをついてはいけない、グラブを踏みつけてはいけない、グラウンドにツバをはいてもいけない。マウンドを蹴り上げてもいけない。そう「野球の神様」は見ているのだから。

「現役力」 工藤公康

これだけやったのだからもう悔いはないという開き直りの境地に達するまで現役にこだわりたい。自分の中で勝手に限界をつくって、無難なところで「よくやった」と勝手に満足してしまうのではなく。限界を越えてはじめて新しいものが見えてくる。

「覚悟のすすめ」 金本知憲

練習で三割できれば試合で八割できる。五割できれば十割できる。三〇を過ぎたら仕方ないという風潮がある。しかし私は本人の怠慢だと思う。

加えて、もうひとつ。今日心に響いたワンフレーズも添えておこう。

「夏の午後の長い坂道の途中で」 馬場英俊

引退もなく 卒業もなく 長い季節が続いている
納得ってよくわからないけど どうしても立ち止まらない理由が君にある

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